閉店の翌日、先生がたが全員集合しました。峰先生、石川先生、古川先生、鴨下先生、後藤先生、南田、そして以前月曜日を担当されていたSAKURA先生。狭いサロンはおしくらまんじゅう。これまでにないほど賑やかになりました。
「なんで、なんでも捨てるのよっ!」
お掃除の途中、峰先生のお叱りが飛びます。
持ち帰る荷物は少しでも少ない方が後から楽だろうと考えた南田が峰先生に確認せず、峰先生が必要なものもぽいぽい捨ててしまったから。
でもこういう時ってへんなスウィッチがONになっています。叱られても何を言われても、反省するどころか楽しくなるのですね。
私のゲラゲラ笑いが他の先生にも伝染して、小さなサロンが先生たちのゲラゲラ大笑いであふれました。
荷造りがすんで、紙コップで最後のお茶をいただき、お片付けは終了です。
最後の最後に峰先生が言いました。
「このイス、だれか持って帰らない?」
お客様の席だったイス2脚。とても座り心地が良いのです。
「わたしがいただきます!」
「でも、千葉の自宅までどう運ぶの?」
「軽いから持てます。手で運びます!」
2客の椅子を重ねて、ゴミ袋を割いて即席の紐を作って縛り、持ってみると案外軽かった。しかし、私はこの日、お店の床に敷いていたカーペットの新品の予備分もいただいて帰ることにしていたのでした。
カーペットを運ぶためにブルーシートのような素材でできた頑丈で巨大なショッピングバッグを用意していたのですが、この中に入れたカーペット、相当な重さです。
また電気の延長コードなど、お店にお貸していたり、他にいただいた備品で愛用のトートバッグもいっぱいになっています。
ロングのダウンコートの上から財布やスマホ貴重品を入れたショルダーバッグをタスキに肩からかけ、コード類が入ったトートバッグを反対の肩にかけ、右手にカーペットの入った巨大バッグ、左手に2脚の椅子をぶら下げると、持てないことはないけれど、罰ゲームみたいな感じになりました。
「ラッシュ時のJRには乗れないかな‥‥」
地上行きのエレベーターに乗ろうとする私の姿を一目見て、こんどは峰先生が笑い崩れました。
「女がすたるよ!」
カーペットを入れたビニールのショッピングバッグはチェック柄。ぱっと見るとまるでホームレスレディーに似てになくもなかったようです。
南田